子どもの離乳食がスタートすると、ママやパパにとって関心が高まるのが「アレルギー」です。離乳食の基本として、「初めての食材は、まず一口から」なんて言われますが、これは赤ちゃんの体にアレルギー反応が出ないかどうか、確かめるためでもあります。
子どもが食物アレルギーを発症する対象として、多いのが「卵」や「牛乳」、「小麦」や「大豆」です。しかし状況によっては、「これら以外の食物でも不安が募る……!」なんてこともあるのかもしれませんね。
「油」をスタートする際には、「油にもアレルギーってあるの?」という点が気になるところです。油と子どものアレルギーについて、詳しく解説していきます。
まずは「食物アレルギー」について知ろう!
子どもの食物アレルギーと聞くと、「アナフィラキシーショック」など、怖いイメージを抱く方も多いかもしれません。しかし自己判断で特定の食材を勝手に除去するようなことがあれば、子どもが摂取できる栄養が偏ってしまう可能性もあります。確かに食物アレルギーは怖いものですが、むやみやたらと恐怖心を抱くのではなく、まずはその内容について、しっかりと把握することが大切です。
食物アレルギーとは、特定の食べ物に含まれる「アレルゲン」に対して、体の免疫機能が過剰に働いてしまい、さまざまな不快症状が生じてしまう現象のことを言います。
本来であれば、体にとって必要な栄養素であっても、免疫機能がそれを「異物」と判断すれば、体の外へと排除しようとします。食物アレルギーでさまざまな症状が引き起こされるのは、この「排除しよう」とする働きのためだと考えられています。
どのようなアレルゲンに対して、どの程度の反応を見せるのかには、個人差があります。「もしかして!?」と思ったときには、自己判断するのではなく、専門医の診察を受けることが大切です。
油はアレルゲンになるの?
ここで気になるのが、「油はアレルゲンになるの?」という点です。油そのものがアレルゲンになる可能性は低いのですが、油を作る「原料」には注意する必要があります。
たとえば大豆アレルギーの子どもにとって、大豆から作られる大豆油はアレルゲンとなる可能性があります。同様に米アレルギーの子どもにとって、米から作られる米油は、注意が必要な存在だと言えるでしょう。
離乳食から幼児食へと移行する過程において、「そろそろ料理に油を取り入れよう!」と思ったときには、その原料にまで目を向けて、子どもにとって安全な油を選択することが大切です。
また油も、その他の食材と同様に「少量ずつ与えてみて、様子を見る」というのが基本です。初めての油を使う場合には、食べさせたあと、子どもの様子に異変が見られないかどうか、チェックしましょう。
とはいえこれらの行動は、「油だから」という理由で行われる特別なものではありません。その他の食材と同様に考えればOKです。
油の種類によっては、アレルギーを促進するものもある!
アレルギーと油について、もう一点意識しておかなければならないのが、「油の種類によっては、辛いアレルギー症状をさらに促進してしまうものが存在する」という点です。具体的には、オメガ6に属するリノール酸が、こちらに当たります。
リノール酸は、体にとって重要な役割を果たす栄養素の一つです。また人間が体内で生成することができない栄養素なので、毎日の食事から定期的に摂取する必要があります。
とはいえリノール酸の場合は、現代の日本人が普通の食生活を送っていれば、まず不足する心配がない栄養素とされています。むしろ「摂取し過ぎによる悪影響」の方が、注目されつつあります。
リノール酸を過剰摂取すると、さまざまなアレルギー症状を促進してしまうことが分かっています。食物アレルギーはもちろんのこと、アトピー性皮膚炎や喘息、アレルギー性鼻炎や花粉症など、さまざまなアレルギー症状がひどくなってしまうのです。
油の中には、オメガ6とは反対にアレルギー症状を抑制する作用を持つものも存在しています。それがオメガ3系に属する、α-リノレン酸です。こちらの油を積極的に摂取すれば、辛いアレルギー症状を緩和する効果が期待できることがわかっているのです。
リノール酸を多く含む油としては、以下のような種類が挙げられます。
- 大豆油
- コーン油
- ベニバナ油
- ひまわり油
一般的に「サラダオイル」として販売されている商品の多くは、このリノール酸を含む油と考えてよいでしょう。
一方でα-リノレン酸を含む油には、以下のようなものがあります。
- シソ油
- アマニ油
- エゴマ油
ただしα-リノレン酸は、熱に弱く性質が変わりやすいと言われています。アレルギー症状抑制のために摂取したいと考えるのであれば、ドレッシングやカルパッチョなど、加熱なしで楽しめるメニューに導入するのがオススメです。
また加熱して使いたいときには、オメガ9に属するオレイン酸を多く含む、オリーブオイルを選択するのがオススメです。こちらはアレルギー反応に対して「中立」の姿勢を示す油なので、「オメガ6の摂取量を減らす」ことで、アレルギー症状の緩和を目指すことができるでしょう。
まとめ
アレルギー症状で悩む人が増えている今、「子どもの食事」についても、しっかりと気を配っているママやパパが増えてきています。離乳食期から「油との付き合い方」もしっかりと検討することで、辛いアレルギー症状の緩和も目指せるのかもしれませんね。
賢く、そして健康的に脂質を摂取するためにも、ぜひ「油の質」や「それぞれの特徴」にも目を向けてみてはいかがでしょうか。