健康への意識が高まり始める、50代。これを良い機会として捉え、見直したいのが「油との付き合い方」についてです。オイルの中には、人間の体に良い作用をもたらしてくれるものと、そうではないものが存在しています。
50代からの食生活において、できる限り避けるべきオイルの種類とその理由、そして質の良いオイルに切り替えられるテクニックを紹介していきます。
心臓病リスクを高めるトランス脂肪酸
現代の50代は、比較的若い世代から「洋風の食生活」に親しんできた世代だと言えます。朝食にマーガリンをたっぷり塗ったパンを食べたり、おやつにケーキやクッキーなどの洋風お菓子を取り入れたり……。「それがごく日常の風景だった」という方も多いのではないでしょうか。
このような世代だからこそ、ぜひ注意していただきたいのが、トランス脂肪酸です。トランス脂肪酸は油の一種で、摂取し過ぎることで、心臓病リスクを高めることがわかっています。
注意が必要なのは、このトランス脂肪酸、「摂取していないつもりでも、意外なところで想像以上にたくさん摂取してしまっている」ということです。
たとえば、パンにつけるマーガリンや洋風の焼き菓子に使われる「ショートニング」には、トランス脂肪酸が含まれています。またトランス脂肪酸は、植物性の油を長時間加熱し続けることでも発生します。
外食先で食べる揚げ物は、絶えず訪れるお客さんに対応するため、「長時間加熱」の状態で作られやすいと言えるでしょう。「ほんの少し」のつもりが、実は「長い年月の中で、体に悪影響を与えてしまう」なんてこともあり得るのです。
またコンビニで手軽に買えるお惣菜や菓子パンにも注意が必要です。こちらもトランス脂肪酸を多く含む食品として知られています。
なぜトランス脂肪酸は体に悪いの?
トランス脂肪酸は、脂肪酸の構成が「トランス型」になっているものを指しています。牛やヤギといった動物の肉や乳など、自然界の中にもトランス型の脂肪酸は存在しています。ただし、自然界に存在するトランス脂肪酸が、すぐに身体に悪影響を及ぼすわけではありません。
問題は、人間の手が加えられ、人工的に作られたトランス脂肪酸です。このようなトランス脂肪酸に対して、すでにアメリカでは「トランス脂肪酸を含む加工油脂の食品使用禁止」という措置が取られています。
トランス脂肪酸を摂取すると、体内の悪玉コレステロールの数を増やし、善玉コレステロールの数を減らすことがわかっています。悪玉が増え、血液の状態が悪くなった上に、さらに善玉までもが減少してしまうことで、心疾患のリスクが高まるというわけですね。
また心疾患以外にも、以下のような病気のリスクを高めてしまうと言われています。
- 糖尿病
- 内臓脂肪の蓄積(メタボリックシンドローム)
- 高血圧
- 高血糖
アメリカと比較すると、日本におけるトランス脂肪酸対策は、「まだまだ進んでいない」というのが現状です。これには、「日本人が日常的に摂取しているトランス脂肪酸量は、欧米人と比較するとまだまだ少ない」などの理由が関係しているようです。
とはいえ、食生活の欧米化が叫ばれ始めてから、すでに長い年月が経過しています。欧米化の歴史と共に歩んできた50代にとっては、セルフケアで油に対する意識を高めることが重要なポイントと言えるでしょう。
トランス脂肪酸を、質の良いオイルに変えるためのコツは?
気付かないうちに摂取していることも多いトランス脂肪酸だからこそ、気付けるときには、積極的に排除していくことをオススメします。
トランス脂肪酸を避けるためのコツとしては、以下の情報を参考にしてみてください。
マーガリンを使わない
トランス脂肪酸を多く含む食品の代表格といえば、マーガリンです。「自分でパンに塗って食べる」ことも多い食品だからこそ、避けやすいという特徴があります。
「パンだけでは物足りない」という場合には、マーガリンではなくバターを選択するのがオススメです。またオリーブオイルを選択するのもオススメの方法です。パンに独特の風味を与え、食べやすくしてくれます。
オリーブオイルはオメガ9系に分類される「質の良い油」です。マーガリンからこちらへと切り替えることで、マイナスからプラスへの変化を実感できるでしょう。
サラダ油はオリーブオイルで代用しよう
毎日、何気なく使用しがちなサラダ油にも、トランス脂肪酸が豊富に含まれています。ぜひこちらを、オリーブオイルへと切り替えてみてください。
オリーブオイルは、質の良い油でありながら、加熱にも強いという特徴があります。炒め物や揚げ物をする際にも、便利に使えます。
毎日の積み重ねが、将来の健康を守ることにもつながるでしょう。
【心臓が気になる方に】トランス脂肪酸のリスクと切り替えテクニック まとめ
私たちの身近にある油の中には、「積極的に摂取したい、質の良い油」もあれば、「質は良いものの、過剰摂取になりやすく、できれば摂取量を制限したい」ものもあります。
そしてさらに注意が必要なのが、「できるだけ摂取を避けなければならない、質の悪い油」なのです。
今回紹介したトランス脂肪酸は、最後の「質の悪い油」に分類されています。
50代以降は、心臓や血管に、さまざまなトラブルを抱えるリスクも高まる時期です。
いかにその機能を守っていくのかが、重要なポイントになると言って良いでしょう。
トランス脂肪酸を避け、その代わりに質の良い油を取り入れながら、健康的な食生活を実践してみてください。